R&Dチームリーダー:Shugo

職種
エンジニア
所属
テクノロジー本部

物流はコンピュータアーキテクチャに似ている。Hacobuで実現する物流の未来とは。

 
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テクノロジー本部 R&Dチームリーダー Shugo 2021年入社 京都大学大学院で情報学研究科修了後、ユニコーン企業などで半導体事業やピッキングロボット開発、機械学習に従事。エグゼクティブエンジニアとして技術リーダー職やエンジニアリングマネージャーなどの経験を経て、2021年11月にHacobu入社。
 
Webアプリケーション開発とは異なる分野でエンジニアとして実績をお持ちのShugoさん。一つのドメインに注力したいとHacobuに参画。エンジニア視点でのHacobuの魅力・今後の展望について語っていただいた。
 
 

一つのドメインにどっぷり取り組みたい

──Hacobuに入社するまでの経緯を教えてください。
京都大学大学院では、偏微分方程式の数値計算の研究を行い、それに付随する形でGPUを使った高速化や浮動小数点の丸め誤差の研究を行っていました。新卒としてフィックスターズに入社し、Mujin、Preferred Networksを経てHacobuに入社しました。
1社目のフィックスターズでは、組み込みSSDの開発に従事していて、2-3人くらいで始めて50-100人の規模まで大きくし、マザーズ、東証の上場を経験しました。2社目のMujinでは、物流やロボット界隈で有名なベンチャー企業の一つで、物流ロボットの開発をしていました。
前職のPreferred Networksは、ロボット・化学・製造業・教育など、様々な領域をやっているAIベンチャーとして非常に有名なユニコーン企業ですが、その中でロボット部門を束ねて物流部門を立ち上げました。その結果、エンジニアリングマネージャーを任されたり、会社の事業方向性を検討する会議にも出席するようになりましたね。
 
 
経験したことで言うと、Hacobuに入社するまでに1人で立ち向かうことの力の弱さを経験できたことはすごく良かったと思います。過去には1人で頑張りすぎて会社で倒れたこともあります。笑
新入社員だった頃は1人で何でもやるような働き方をしていたんですが、部下が10名程になったときに、1人で頑張って結果を出すよりも全体パフォーマンスで結果を出さないとスケールしないことに気がつくことができました。社会人の初めの頃に、集団で結果を残す意義を学ぶことができたのは大きかったと思います。
 
そうした経験を経て、色んな人と一緒に価値を最大化する働き方を求めるようになりましたね。
──なぜ転職しようと思ったんでしょうか?
正直な話、手段が目的になっちゃってる会社って面白くないな、と思ったんです。
AI企業の多くは、いろんな事業に手を伸ばしている会社が多いと思うのですが、これは自分たちが強みとしている技術が最初にあって、それをどうしたら活かせるのかを考えているからなんです。ただ、ビジネスのドメイン知識の獲得ってとっても難しい。どっぷりその業界に浸かって初めて本質的なところが目に見えてくる。その結果、本当に必要な技術がわかってくるんですよね。そういうビジネスドメインの知識獲得の難しさを知っているからこそ、全社で一丸となって自社ビジネスで1つのドメインをどっぷり扱う会社がいいなと考えるようになりました。
──そこでHacobuに出会ったわけですね。笑
2社目のMujinで20〜30ほどの物流現場で現場の声を聞き、問題を解決していて、そこで物流業界のおもしろさを感じていたんですよね。そこでHacobuは物流というドメインに注力している点に魅力を感じました。 勝ち筋がありそうなのが良いとも感じましたね。
 
Hacobuは物流業界全体の最適化という大きな野望を目指しているんですが、たいていの場合、大きな夢で終わると思うんですよね。Hacobuの場合には、PMFに達しているBerthというサービス*が認知度やシェアなど十分取れていて、大きな夢物語じゃなく、きちんと足をつけたプロダクトがあるので、それを基盤にその夢を目指しているのが良いと思いました。
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また、今回の転職ではトータル10社くらい受けたんですが、Hacobuのアーキテクチャーが一番綺麗でした。過去からの遺産でPHPやJavaなどのコードが残ってる会社が多い中でシンプルにGoやReactで作られていて、モダンな技術で開発スピードが出しやすく、キャリアとしてもプラスとなるような技術選定が行われていることをとても魅力的だと感じましたね。
 
Hacobuでは僕が入社する前に技術的負債を解消するためにフルリプレイスをしていて、マイクロサービスアーキテクチャでGoやTypeScriptといったモダンな環境で開発できています。
CTOのゆーきさんが行ったフルリプレイスの話なんでですが、それは別の記事にて詳細が書かれると思うのでここでは割愛します。笑 でも本当にすごいことを成し遂げたと思います。これは、エンジニアチームだけじゃなく、営業やCSのサポートなどもないと実現できないことなので、そういった理解のある風土がある点に良さを感じました。もっと表に出した方がいいですよ。
 
 
面接の中でメンバーとAWSのインフラ周りの話をしてレベルの高さを感じたことも大きかったです。過去の開発のエピソードを話した際には、僕だったらこうする、とメリットデメリットを簡潔に伝えてくれてとても勉強になりました。WEB開発は初めてだったんですが、この環境で勉強させてもらおうと思って入社を決めましたね。
 
また、ビジネスパートナーがいてくれる会社がいいとも思っていました。前職では事業戦略を考える所もエンジニアがやっていたのですが、これもいろんな事業を手広くやっていたことも起因していたからなんですよね。そういうこともあって、エンジニアがエンジニアリングにかけられる時間は実は少なかったんです。その一方、Hacobuは同じ物流ドメインを会社一丸となって扱っているところや、実際に物流経験を持っている人が働いていることもあり、自然とドメイン知識がたまる構造になっています。こうした環境のおかげで、エンジニアメンバーが本業のエンジニアリング業務に集中できる環境となっている点が非常によいと思います。
 
CEOの太郎さんが意外にハードウェアが好きというのもポジティブでしたね。今も海外の会社と話をして新しいものを見つけてきたりして、「これ何かに使えないかな?」などと言ったり、「分解してみたらこういうチップが入っているんだけど」と言われたりしてます。本当にCEOなんだろうかと思う好奇心で、こういうところに関心が高い人が上に立っているのもエンジニアとして働きやすいなと思うポイントですね。
──入社して丸1年、どのような業務をされてきましたか?
最初は「MOVO Fleet」の開発チームに入り、温度管理機能の開発に参画しました。現在はエンジニアリングマネージャーとしてテクノロジー本部の運営に取り組みながら、R&Dプロジェクトの立ち上げや、ストラテジー事業部の機械学習関連プロジェクトにエンジニアとしてサポートしていたりします。
──Shugoさん、何でも屋さんなイメージなんですが、今はHacobuで何をしている人なんですか?
大きく分けると今は下記3つですかね。
①社内PoC
②HW開発・機械学習などの開発に時間がかかる事柄
③最先端技術の探索(R&D)
 
①の社内PoCについて説明すると、実際にお客さまと話をしているビジネスチームの中に売っている側としての「つけてほしい機能」やサポートする中で聞く「お客さんの声」など、アイディアの種が転がっています。こういうアイディアをまずは簡単に試すために使ってみてもらうのが社内PoCとしての位置づけです。構想はあるけど本当に製品に必要になるかはわからない、実装が大変、触ってみないと良さの議論が進まない、そういう思いつきって結構あるじゃないですか。そういったことを、試す場を用意して使ってもらったりしています。
 
②は下記のようなことをあれこれ手を出させてもらっています。
  • ハードウェア選定
  • 画像認識
  • 機械学習
  • 統計分析
  • Web開発 (FE/BE)
 
これらの仕事は、昔は製品の各プロダクトチームの中でやっていたりしていました。例えばFleet*と呼ばれる動態管理システムのチームは、動態管理用のハードウェアデバイスの立ち上げや調査などをしながらWeb開発をしていたんですが、こうしたタスクは時間がかかり、本来のデプロイスピードを落とす要因になっていたんですよね。機械学習のような高度な技術も同じくで、製品チームがもっとスピーディーにデプロイするところに注力して、時間がかかることをR&Dでできるよう支援させてもらっています。このように、R&Dでは複雑な仕事が舞い込んでくるのですが、このフェイズだからこそ一つのチームでたくさんの仕事を任せていただき楽しくやらせてもらっています。
動態管理サービス MOVO Fleet:https://movo.co.jp/movement_manage
 
あとはエンジニアリングマネージャーとしてメンバーと1on1をやったり、引っ越しプロジェクト、Value再定義プロジェクト、カジュアル面談や面接・広報活動やホームページ改善など、いろんなことをさせていただいています。ただし、今後はエンジニアリングマネージャーを11月で卒業してR&D業務に集中する予定です。
その他で言うとCTOと共に執行役員会に参加させていただいており、会社の意思決定に開発メンバー側の意見をしっかり伝えるよう意識しています

安定したSaaSプロダクトが長期目線の研究開発を可能にしている

──R&Dチームとしてはどのようなことをしているのですか?
R&D領域なので詳しくは話せませんが、物流業界が確実に良くなるサービスの卵を育てています。これが先程に言ったR&Dの③の役割ですね。CEOの太郎さんにMOVOをインテリジェント化してほしいという野望を託されています。
こういった時間のかかる機能を研究して開発するところに投資できる環境もHacobuの魅力の一つだと思いますね。きちんとSaaSとしてサービスがPMFしているので、安心して研究開発に注力できます。何も儲かっていないのに一発当てるというわけではないし、目先のことだけを向いて研究をおろそかにしているわけでもないところはいい環境だと思います。
 
僕がやっているR&Dって、本線で確かめられないことをサイクルで回して、まず作ってみてそしてフィードバックするんです。このプロセスがインテリジェント化の一つなのかなと思っています。某会社社長の言葉じゃないですが、いいと思ったことでも、10回に9回は失敗しますからね。
データ分析、機械学習、AIを使ってMOVOに集まってきたデータをうまく活用するための何かを作る部分。何を価値として生み出せるのかというのを常に考えていますね。
 
 
僕自身、色々求められるのは楽しくて、生きてるなって気がするんですよね。課題を解決したいって気持ちが大きいからこそ、なんとかしてほしいって言われると燃えます。笑

物流センターはスーパーコンピュータである

──Webエンジニアにとって「物流」は遠い業界のように思いますが、エンジニア視点での「物流」のおもしろさがあれば教えてください。
Hacobuに入る前、僕は物流センターにロボットを導入する仕事をしていました。さまざまな現場で生の物流を見ていると、物流センターがスーパーコンピュータ用のCPUのように見える様になりました。物流センターは、産業用ロボット、GTP、AMR、AGV、コンベヤーなど、いろんなものを「会社が独自に」「速度を追い求めて」設計しているという点でスーパーコンピュータ用のCPUのようなものだなと思っています。または、バース*を通して荷物の入出力をしていると思うと、SSDのようなストレージデバイスのようにも見えます。
バース:倉庫や物流センターでトラックが接車し、荷物積み降ろしなどに使用するスペース
 
この疑似コンピュータ装置である物流センターは、トラックからモノというデータが運ばれてくるのですが、それがいつどのくらいの分量で届くのかというのが、「当日までわからない」という状態でした。僕がこれまでロボットエンジニアとして関わってきた物流センターは、産業用ロボットを導入するくらいの会社なので、資金面も充実しており、近代的な装置を入れている会社たちです。しかしながら、トラックがいつくるか、どのくらいの分量がくるかの情報はわからないという状態が起こっており、エンジニアからするとすごく不思議な状態でした。上で例えたCPUであろうと、SSDだろうと、どういうデータがくるかは高速化のために把握した上で、物事を処理しているからです。
 
例えば、スマートフォンでVideo録画を押したときには、Video録画用に特化したストレージの動きをします。これは、ストレージに今から大量の重たいデータがずーっと垂れ流されるからそのつもりで、というプロトコル*をお話して、それに備えることを意味します。
一方で、物流センターというのは、物流センター自体にお金をかけるものの、いつどのくらいの分量で届くのかというデータのやりとりには全然労力を払っておらず、非常に不可思議でした。運んでくるトラックがボトルネックなら改善すればいいのに、なぜ誰も手をつけないのかって思ってたんです。そんな中、そもそもトラックの物流網がアナログすぎてデジタルデータとして情報が倉庫まで伝達することが難しい、という現実をHacobuとの面接の中で教えてもらいました。MOVOは、まさにそのアナログな部分をデジタル化しようとしているプロダクトなんです。
*プロトコル:コンピュータでデータをやりとりするために定められた手順や規約、信号の電気的規則、通信における送受信の手順などを定めた規格
 
物流プロセスには様々なプレーヤーが存在しており、事業内容・規模が異なるプレーヤー間で物を運ぶための情報がアナログ(電話・FAX)でやりとりされている。
 
プレーヤー間でアナログ(電話・FAX)でやりとりされているため、その先にいるプレーヤーが必要な情報を取得できず不確実性が発生している。
 
基本的に一番時間がかかるところを高速化にするというのは、エンジニアの鉄則なわけですが、いわゆるネットワーク伝送網を最適化せずに、最も速いCPUのようなところを高速化しているのが物流業界なのだなと理解しました。
 
コンピューターサイエンスに例えるなら、物流センターは自社で好きにカスタマイズできるスーパーコンピューター用のCPU。それに対して物流網はネットワーク。物流業界は物流網であるネットワークが一番いけてないんですよね。物流センター内での最適化として、より早くピッキング*したいのに、優先順位をつける元となる情報が来ていない。デジタル情報としてデータで物流センターまで回ってきていないんです。そのプロトコルを整えないといけないと思う。そこが整ってないのってやっぱり不思議じゃないですか。
*ピッキング:伝票や指示書に基づいて、商品を取り出す(ピックアップする)作業のこと
 
物流センターに必要なデータを届ける以前に、物流業界では物流網そのものがボトルネックになってしまっています。荷物を運ぶ際に、このトラックがこの場所にこの時間にくるという情報は誰かと共有していない限り誰も知り得ないので、一度物を運んだらその帰り便の積荷がないケースも多いんですよね。これでは積載効率*は上がりません。荷物情報があって、うまく配車をすることができる、そうすることで積載効率が倍になればその先の物流センターの高速化も進むはずです。
 
結果的に物流網がデジタルになることで、物流センターにも情報が届くようになり世の中が劇的に変化するんですよね。
*積載効率:積載効率とは、許容積載量に対して、実際に積載する貨物の割合のこと。 重量、内容積、面積がその基準となる。
 
ただ、トラックって難しい。メーカーも違えばそれぞれ個体も違う。集団コントロールはまだコンピューターアーキテクチャでは効率制御が難しい領域です。だからこそ、コンピューターサイエンスをやってた側からすると面白いんですよね。トラック輸送は時間のスケールが遅く、荷物を届けるのに1日かかることもある。だからこそいくらでも最適化の方法があり続けると思っています。どうしたら最適化できるのか、僕はそれを追い求めたいと思います。

物流をコンピュータアーキテクチャだと思って問題を捉え物流を解法していく

──どんな人と働きたい?
物流をコンピュータアーキテクチャだと思って問題を捉え、コンピュータサイエンスの力を使って課題を解ける人と働きたいですね。また、物流現場の方々と直接接しているのは、営業部やカスタマーサクセスチームのビジネス側のメンバーです。そのため、ビジネスと距離の近い開発組織にしたいなぁと思っているので同じ想いを持ってくれたら嬉しいですね。心優しい人がいいです。笑
 
僕、入社した初日にSlackのチャンネルをいろいろ作って自動化するものなんかを勝手に作りまくったんです。それでも誰からも怒られず嫌な顔されなくていい会社だなぁと思いました。しおらしくしろみたいな雰囲気なかったですね。笑
 
 
個人的にはコンピューターが好きな人と話をしたいと思っています。先程もお伝えしましたが、エンジニアから見た物流は物流=コンピュータアーキテクチャだと捉えることができるので面白いと思います。
 
物流業界は物流センターをまだ独自に作り続けていいます。「複製」という作業がまだ行われておらず、独自に最高なものを作ってる。コンピューターサイエンスの歴史と比べながら動けることも僕からみた物流の面白さですね。
 
また、市場マップを見てみるのも面白いです。物流業界って実はとてつもなく大きい市場なんですよ。投資額もインパクトも大きい。Hacobuは事業として、MOVOによって物流網のトラフィックをデジタルデータとして取得できる状態に近づいています。その後はデータを活かして、本来の目的である物流最適化につなげていきたいと考えています。
 
 
 
──今後の展望は?
Hacobuに勝ってほしいと思っています。アーキテクチャのリプレイスを乗り越えたことで、障害対応がほとんどなく品質が良い状態になりました。さらには営業やCSの層が厚く、ドメイン知識を持った人にも恵まれ、売れ筋商品を持ちながら大きな展望を描いている。僕は勝てると思っています。
 
また、Hacobuのエンジニアはアピールしたいほど優秀な人が多いのにシャイな人が多く、外部露出できないことも気になっていますね。本当はいいエンジニアが揃っていることをもっとアピールしたいんですけど。
 
 
僕自身はキャリアとして3年後、5年後とかって考えてないんですよ。行き当たりばったりだから。笑
 
でも伏線回収は自動的に行われると思ってます。今までも結果的にその技術が役に立つことしか経験してないんですよね。半導体に関する仕事をしていたおかげで、物流とSSDというストレージデバイスの共通点でものを見ることができるようになりましたし、物流ロボットのピッキングをやっていなかったらトラックから得られる情報の大切さには気がつかず、Hacobuで働く今はなかったと思いますしね。無駄なことはないので、今を全力で生きていつか持っている力が役に立てばいいなと思います。
 
数年後の自分がどんな伏線を回収するか、楽しみです。